残業申請しづらい雑務の事例
看護師はサービス残業が多い職業です。基本的に仕事量が多いことに加え、残業として申請しづらいさまざまな雑務を抱えているからです。たとえば雑務のひとつに、勤務前に行う情報収集があります。情報収集とは、その日対応する患者さんの容態や注意点が書かれた電子カルテを確認する作業のことです。
自分が担当する患者さんだけでなく、場合によってはチームで対応する患者さんの状態も見ておく必要があります。こうした業務は、申し送りの前にやっておかないと、時間的に余裕を持つことは難しくなります。受け持ち人数が多かったり、入院の受け入れをしなければならない日、患者さんの入れ替わりが多いときなどは、特に情報収集をする暇はありません。その結果として、必然的に30〜60分前に出勤する看護師が多いのです。
そのほか、終業後の残業としてサービス残業になりやすいのが、電子機器(タブレット)等に看護記録を書く作業です。スキマ時間に書き終われば残業はなくなりますが、タブレットの数が少ないケースもあり、自分が使いたいときに空いていないといったことも起きているようです。
実際、忙しすぎて業務時間内に看護記録を書けないというのはあるあるです。手が空いたとしても、ほかの看護師にヘルプを頼まれて手伝ったり、病棟勤務の際は患者さんにコールで呼び出されてサポートしたりなど、まとまった時間を取ることは難しいのが現状です。そうなれば当然、残業して記録を書くことになります。
このように、看護師は細かい仕事が立て込んでいる傾向にあります。よって、残業があるのが普通の状態となっており、残業の線引きも曖昧になりがちなのです。どんな形であれ、職場のために動いている時間は労働時間です。もしサービス残業が蔓延しているようなら、勇気を出して声を上げていくことが大事です。